眼科で網膜症の症状を説明され、
そのとき、早く治療しないと失明するかもしれない、
と言われました。

”失明”。

人生でこれほど心配したことはありません。

白い杖を突いて歩く自分の姿が浮かびます。

”そうなったらこれからどうやって生きていこうか?”

”目が見えなくなったら生きる元気もなくなるのでは?”

不安が全身を包みます。

また、白内障の手術も終わり眼科で、
「もうそろそろいいだろう」
と言われてすぐにレーザー治療を始めることにました。

糖尿病性網膜症とは

糖尿病性網膜症とは、糖尿病のせいで目の中の網膜という組織が損傷し、
視力が低下する病気です。

網膜はカメラでいうとフイルムの役目をするところです。

眼科で言われたことは、
「あんたの網膜はカメラで言うとフイルムが感光した状態だよ」。

自覚症状はありません。

ご存じたと思いますが、
糖尿病網膜症は糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、
糖尿病三大合併症といわれています。

この病気で失明する人が大勢いるそうです。

あまり専門的なことはわかりませんので、ネットで調べてみてください。

誰だ!レーザー治療は痛くないといったのは!

いよいよレーザー治療の始まりです。

治療台に頭を押さえつけられ、
目の奥にレーザー(光)を当てられます。

パチ!
パチ!
パチ!

何度も何度も光が差し込んできます。

以前、医者からレーザー治療は痛くも何ともない、
という説明を受けていました。

ところが、
レーザー治療のスイッチが入るたびに、
ズキ~ン、ズキ~ン、ズキ~ン、
と目の奥が何かに強く押さえつけられたような鈍い感触です。

これをなんというか、
やっぱりある種の痛みです。

最後の方は、
”もう早く終わりにしてくれ~、
と心の中で叫んでいます。

なかなか終わらないレーザー治療

もう何回レーザー治療のために眼科へ通ったことだろう。

20回ぐらいかな。

なかなかこれで終わりと言ってくれません。

ある日、医者が僕の来院を見て、
思わず、
「厄介な患者が来た」
と小声ていったのが聞こえました。

”そうかい、厄介な患者で悪かったなあ”
と心の中で悪態をつきました。

そして、
やがて、
ある日、
「よし! これで終わりだ」。

やっとレーザー治療が終わりました。

レーザー治療の費用

残念ながらレーザー治療の費用はすっかり忘れてしまいました。

その都度払って、
回数的には20回ぐらいとうろ覚えです。

おそらく20万円以上は払ったかと思います。

糖尿病性網膜症のレーザー治療を終えて

レーザー治療を続けていく中で、
もちろん心ひそかに視力がよくなってくれ~と、
願っていました。

でもです。

視力は戻りませんでした。

しかも、手術の後、どんどん物の見え方が変化します。

少し良く見えたかと思うと、
悪くなったり。

そのあともこの見え方はどんどん変化しました。

レーザー治療前より視力は落ちました。

時間がたつにつれて、
もう視力の回復はあきらめました。

考えたのは、
何とか町を歩ける視力はある、
この状態で生きていくしかない、
ということでした。

今の目の状態

現在、視力が極端に落ちたのに、
なぜ動き回れるのか。

それは目の中心が極端に見えずらいのに、
中心を外すとなんとか周辺は見えるからです。

要するに、視点をずらすと見えるのです。

見つめる先は見えずとも、
その周囲は見える。

何ともおかしな状態です。

これは本や新聞を読むときは、
とても苦労する状態です。

と言ってもなかなかこの状態は理解してもらえないと思います。

眼科でこの状態のメガネの処方箋を作ってもらって、
メガネ屋行った時、
店員が何とも変な表情をしていておかしくなりました。

誰かとコーヒーショップで相対しても、
相手の人相が確認できません。

ぐっと顔をを近づけないと見えないのです。

もう通常の生活はあきらめました。

そこで選んだのは自宅でパソコンを使ってやる仕事です。

この点については、
そのうち書こうと思っています。

その後の目の状態

網膜症のレーザー治療を終えて、数年が過ぎたころです。

なんと治療後より視力が良くなりました。

といってわずかですが、
僕にとっては大きな喜びです。

この時思ったことは、
時間がたつにつれて目はどんどん良くなるのではないか。

その淡い期待は”はずれ”でした。

ある程度良くなった後は何年たっても、
良くなる兆候はありません。

最近はもうあきらめています。

そんなにうまい話はありませんでした。

残念!