医者から何度も糖尿病の合併症の怖さを聞かされ、
何事も三日坊主のボクも重い腰を上げざるをえませんでした。

いよいよインシュリン注射です。

ところが、これがそう簡単ではないのです。

というのは三度の食事ごとにやらなければならないからです。

特に面倒なのは外出先での注射。

もちろん、注射しているところを人に見られたくないので、
トイレなどを利用します。

準備して、注射をして、片づけて、
と、まあ面倒なことこの上なし。

そのうち面倒くさくなり、
注射をしない代わりに食事もしない、
ということもあります。

また、だんだん慣れてくると、
おかしなこともやってしまうこともあります。

それはインシュリン注射をしたのに、
食事をしないという大間違い。

これは大変危険なことです。

もちろん、糖尿病症状が軽いうちは、
薬だけで治療ができますが、
僕ほどの重傷だと、
もうインシュリン注射しかありません。

もうやるしかないのです。

三度三度、食事のたびにインスリン注射をやるか、
放置して、失明して、足を切断して、人工透析をして、
生きる屍状態になるか。

インシュリン注射とは

まず、インシュリン注射についてお話しておきます。

人が食事をすると血糖値が高くなります。

すると、
それを抑えるために膵臓からインシュリンというホルモンが分泌され、
血液の中の血糖値を下げようとします。

糖尿病は膵臓の働きが衰えてきて、
インシュリンの分泌が少なくなる病気です。

そのために、糖尿病がひどくなると、
インシュリンを体外から補充しなければなりません。

それがインシュリン注射です。

インシュリン注射にはいろいろな種類がある

わかりやすく言うと、
インシュリンにはゆっくり効いてくるものから、
即効型までいくつかあります。

難しい説明は省きますが、
軽い食事の朝食には即効型。

いっぱい食べる夕食時にはゆっくり型を使います。

医者の指示に従って、
僕は朝食時には即効型のR、
夕食時にはゆっくり型の30Rという種類のインシュリン注射を使っています。

ときには低血糖症状が起こります

人間は機械ではありませんから、
毎日、三度三度きちんとインシュリン注射をしてきちんと食事をする、
というわけにはいきません。

ある時は食事の量が少なかったり、
あるいは過度に動き回ったせいで、
低血糖になったりします。

低血糖とは文字通り血糖値が下がりすぎることです。

血液中の糖分が少なくなる。

血糖値が下がりすぎるとどうなるか。

とてもだるくなり体を動かすのがつらくなり、
それが進むと意識がなくなります。

いわゆる低血糖症。

危険な低血糖症状

インシュリン注射をしたのに、
きちんと食事をしないと血糖値がどんどん下がって、
意識を無くしてしまいます。

わかっているのにやってしまうのです。

皆さんもときどきニュースなどで低血糖による交通事故のニュースを、
ご覧になったことがあると思います。

これがインシュリン注射をしたのに、
きちんと食事をしなかった典型的な状態で起こる事故です。

大丈夫と思っていても、
意識がなくなるのです。

僕はそんなときのために、
ポケットに常にブドウ糖など甘いものを持っています。

低血糖になりそうだと感じたら、
すぐにそれらを口に入れます。

もうここまで来ると低血糖になりそうになる兆候は自分でわかります。

低血糖を放置すると、
時には意識が戻らないこともあります。

低血糖はそれほど危険なことなのです。

僕が経験したのは品川駅でいきなり低血糖になり、
ふらふらしながらコーヒーショップへへたり込んで、
かろうじて何とかなったということがありました。

この時は運悪く甘いものを何も持っていませんでした。

低血糖症の状態で車を暴走させた事故の責任は?

最近、低血糖症の状態で車を暴走させ、
3人に重軽傷を負わせた事故の裁判が行われています。

弁護側は「低血糖症に陥ることは予見できなかった」と無罪を主張。

理由として、
事故前の3年間被告に意識障害が生じていなかった、
としています。

インシュリン注射をしている人なら、
誰でも一度や二度、
必ず低血糖症状を経験しているはずです。

3年間、一度も意識障害がなかったなどありえません。

インシュリン注射をして食事の量が少なかっただけでも、
低血糖症状は起こりえます。

例えば、夕食をそばなどで済ませて、
インシュリン量をいつもと同じにしていると、
必ず夜の11時ごろ低血糖の兆候が表れます。

逆に、ステーキなどのフルコースなどを食べると、
インシュリンの量は不足しているはずです。

インシュリンが不足した場合は何も感じませんが、、。

インシュリン注射をして、
きちんと食事をしないで車を運転する。

これはもう確信犯です。