本格的に糖尿病の治療を始めて、
まず、
気をつけたのは、
食事前のインシュリン注射。

とにかく、食事をするたびに注射をするのは、
とても面倒なことです。

人に見られたくないので、その場所探しから始めなければなりません。

そして、もう一つすぐにやらなければならなかったのが白内障の手術。

というのは、日に日に視界が暗くなってきたからです。

しかも、
失明の危険がある網膜症の治療もすぐにやらなければならない、
とも言われました。

ところが、
白内障をそのままにしておいては網膜症治療のレーザーが患部に届かないそうです。

もう、次から次とやらなければならないことが出てきます。

仕事どころではありません。

白内障とは

年を取ってくると自然に白内障になる人もいるらしいのですが、
眼のなかにある凸レンズの役目をしている水晶体が、濁ってくる病気です。

僕の場合は糖尿病性白内障です。

これは糖尿病の合併症のひとつで、
糖尿の人は年齢以上に症状が進むといわれています。

僕の場合は血糖値が高かったせいでものすごい勢いで進行しました。

天気の良い昼間でも視界が文字通り暗くなっていました。

生まれて初めての手術

そりゃ体にメスを入れるようなことが本当の手術と言えるのでしょうが、
それまで手術というものに縁がなかった僕は、
手術と聞いただけでびびりまくり。

一日、一日と伸ばし続けましたが、
視界は日に日に暗くなり、
昼間でも夕方のような暗さ。

そして、何とか手術をする決心をしました。

本来、白内障手術は入院が当たり前ということでしたが、
近所の眼科は、以前、国立病院の眼科医長だった人で、
日帰り手術をやってくれるというのでラッキーでした。

目の手術ですから、
万が一のことを考えて付き添いを必ずつけてくれ、
ということでした。

もちろん、時間を空けて片方ずつです。

一番いやだったのは手術するところが目ですから、
水を流しながらやるんですが、
ぼんやりと見えるんです。

考えても見てください。

目ですよ。

目を切り開くなんて、
考えられますか?

もちろん麻酔をしているので痛くはありませんが、
気持ち悪いことこの上なし。

そうこうする内に手術は20分ぐらいで終わり。

”あれ!思ったより簡単だった”
というのが実感です。

手術前にビビっていたことは杞憂に終わりました。

1週間ほど間をおいてもう片方もやりました。

白内障の手術の結果は

本当は期待していたのです。

”きっと手術をしたら、
もっと目が見えるだろう”
と。

白内障で日に日に視界が暗くなっていましたから。

残念ながら、視界はあかるくはなりましたが、
良く見えることはありませんでした。

網膜症のせいです。

その時初めて心から、
”失明するかもしれない”
と思いました。

この時は何とかレーザー治療で網膜症が抑えられることを祈るだけでした。

白内障手術の費用

入院して手術をすれば入院費用が掛かるので高額になるのですが、
僕は日帰りだったので3割負担で片目6万円でした。

両目で12万円。

ところが後で気が付いたのですが、
僕が住んでいる横浜市は、
月内で10万円以上の医療費があった場合、
補助制度がありました。

僕の場合はそれを知らずに月をまたいで手術をしたので、
補助金はもらえませんでした。

こういうことは医者の管轄外だとしても、
患者に教える義務があると思います。

患者は年中手術をしているわけではありませんから。

白内障手術を終えて

白内障の手術をすれば、
きっと視界は明るくなり、
視力も元のまま、
と期待していました。

ところが、手術が終わって目を開けてみてがっくりです。

元の視力ではありませんでした。

網膜症のレ-ザー治療では視力の回復はありませんから、
この時点での視力がこのまま続くのかと思うと、
最高に落ち込みました。

これでは車の運転はもうむりです。

この視力では仕事だって前のように続けることはできません。

”この先どうやって生きていこうか?”

後悔先に立たず

この時ほどこのことわざが身に染みたことはありません。

失明しなかっただけでも良かったと思うしかありません。

もう一つあとで気が付いたことがあります。

それは、目の中に入れる人口レンズにはいろいろな種類があるということです。

普通のもから遠近用などです。

これも医者から教えてもらえませんでした。

これを知っていたなら、
僕はきっと遠近用をお願いしていたはずです。

これも医者の怠慢です。

どういうことかというと、
白内障手術で入れる人口レンズは、
遠くを見たり近くを観たりすることができません。

要するに、本来の水晶体は、
遠近を自動調節しますが、
人口レンズはそれができません。

遠近ようだと老眼と普通レンズが組み合わさったレンズで、
要するに、
遠近ようのめがねをしたような感じらしいのです。

医者は患者のこと考えてきちんとアドバイスすべきです。